教育DX・AI活用

算数おたすけAI

生徒が「すぐ答えをもらう」のではなく、「自分で考え直せるヒントを受け取る」ための一次回答AIを、Google Apps Script と Gemini API を用いて構築。図形問題の画像を入力すると、問題タイプの分類、短いヒント、関連動画候補を返すことで、講師の負担軽減と生徒の自己解決支援を両立する教育向けAI基盤を実装。

学習支援・出力制御
サービス
算数おたすけAI ヒーロー画像
「答えを渡すAI」ではなく 自力解決を支える教育導線を設計

従来のプロセス

  • 生徒が図形問題で止まると、その都度講師が画像を確認し、個別にヒントや説明を返していた
  • 少しの視点で解ける問題でも、講師対応に流れやすく、一次対応負荷が高かった
  • 生徒は「考える前に聞く」状態になりやすく、自走力が育ちにくかった
  • 問題画像をもとに、短く適切なヒントを即時に返す仕組みがなかった

導入後

  • 問題画像をアップロードすると、AIが問題タイプを分類し、2〜3行の短いヒントを即時返却
  • 答えではなくヒントを返す設計により、生徒の自己解決を促進
  • 講師が最初から対応しなくてよい質問を前段で吸収し、一次負荷を軽減
  • ログをスプレッドシートへ蓄積し、頻出テーマやヒント品質の改善に活用可能な構造を構築

プロジェクト概要

システムの特徴

画像入力型 教育支援AI Webアプリとして、Gemini APIをGatewayに据え、パス固定による設定ブレ排除を実現。「答えを出さない」教育向けプロンプト設計により、UI依存を排除し、改善可能な運用構造によって「ドキュメント=運用装置」として機能する構造を構築した。セッション分離と権限制御設計により、安全性と再現性を両立した。

役割・担当範囲

  • フェーズ: 要件整理〜教育設計〜AIプロンプト設計〜実装〜テスト〜運用改善方針設計まで一貫して担当
  • 役割: AIコンサルタント / 教育サービス設計 / アーキテクト / Google Apps Script 実装担当
  • 担当領域: 要件設計、プロンプト設計、Gemini API 連携、JSON出力制御、ログ設計、教育的利用方針の設計
  • 成果物: Webアプリ、AI出力設計、動画カタログ連携設計、ログ蓄積基盤、運用改善前提のMVP構造

プロジェクトの背景・課題

個別指導塾の現場では、図形問題のように画像ベースでつまずく問題が多く、生徒は少しのヒントで前に進めるケースでも、その都度講師が一次対応を行う必要があった。

その結果、講師は「本当に個別性の高い支援」に集中する前に、比較的軽い一次質問にも多くの時間を使う構造になっていた。さらに、生徒側も「まず自分で考え直す」前に、すぐ講師へ質問する流れになりやすく、自走力の育成という観点でも改善余地があった。

本プロジェクトでは、こうした課題に対し、図形問題を画像で受け取り、答えではなく短いヒントを返す Web アプリを構築することで、講師対応の前段に自己解決支援レイヤーを追加した。これにより、講師負荷の軽減と教育的妥当性を両立する構造を実現した。

一次対応の属人化

図形問題の初期ヒント提示が講師個人の負担に依存しており、少しの視点変更で解ける問題でも、毎回講師が対応する必要がありました

自走支援の不足

生徒が「まず自分で考え直す」ための補助導線がなく、質問がそのまま講師へ流れやすい構造でした

教育用途としてのAI制御の難しさ

一般的な生成AIは答えを出しすぎる傾向があり、学習支援用途では「便利だが教育的には危険」な状態になりやすい課題がありました

改善につながるログ不足

どの問題タイプが多いか、どのヒントが有効か、どの動画案内が妥当かを後から分析する基盤がなく、改善が属人的になりやすい状態でした

技術的な工夫

1. 教育用途に特化したプロンプト制御

AI に対し「答えを出さない」「短いヒントのみ返す」「テーマが完全一致しない限り動画を無理に推薦しない」という制約を明示。単なる画像認識AIではなく、教育現場で使える出力設計へ落とし込んだ。これにより、生徒の思考を止めずに補助する一次回答レイヤーを構築した。

2. JSON固定出力によるアプリ実装容易性

problem_type、hint、video_id、confidence を固定キーで返す設計により、フロントエンド側での扱いやログ保存が容易な構造を実現した。自由文応答ではなく、運用と改善を前提にした構造化出力を採用したことで、MVP段階から拡張性を確保した。

3. Google Apps Script を用いた軽量な実装基盤

Google Apps Script の Web アプリ機能を利用することで、追加インフラを最小限に抑えながらブラウザで利用可能な教育AIを構築。小規模教育事業でも導入しやすいコスト感と、Google サービスとの親和性を両立した。

4. ログ蓄積による改善ループの設計

AI の返却結果をスプレッドシートへ自動保存することで、「どの問題タイプが多いか」「確信度が低いテーマは何か」「動画案内の精度はどうか」を後から分析可能にした。単発の便利機能で終わらせず、運用するほど改善できる仕組みとして設計した。

使用技術

AI・機械学習

Gemini API 画像理解 JSON出力制御

実行環境

Google Apps Script HtmlService Google Sheets Google Web App

設計思想

教育的妥当性 自走支援 一次対応の前段吸収 構造化出力 / 改善可能なMVP設計